以前購入した 古い そろばんがある。
アンティーク、古い物、民芸品。 そういう類のアイテムは見ていて楽しい。 昔、その道具が生活に溶け込んでおり大切に使われてきた背景や文化を創造すると楽しいのだ。
だからリサイクルショップへ行ったりすると 昔の道具が置いてあったりしてワクワクする。
いろいろなソロバン。
そろばん、ソロバン、算盤、十露盤、筭。
変換して初めて解る、そろばんを示す文字の多さ。
さすが長年にわたって世界中の計算機として様々なタイプが開発され、当然ながら日本国民にも使用された道具だけの事はある。
今回 紹介する「そろばん」は、ちょっと面白いんだよ。
まず、サイズ。
小さいんです。(古いわりには)
すごくショートサイズ。
それ故に 机の上に置きやすい。
昔の算盤は大きくて分厚かったし、机も小さかったと思う。
だから計算するまで そろばんは机の上には乗せて貰えなくて、側に置かれていたハズだ。
しかし、このそろばんは、机に置いていても邪魔にならない程のサイズ。
長さ(幅)は普通のそろばんの半分くらいじゃないかな。
そして 高級なのか低級なのか
芯(軸)が木製(竹)ではなく 金属。 アルミなのかわかりませんが、シルバーに光ってます。
それ故に 玉を動かすときに突っかからず移動がスムーズ。
保管状態が良かったのか、良好に玉が動く。
それでも、心配していたのは 全体的に乾燥してきた木製の枠と玉の部分。
乾燥が進むと 玉も枠もヒビが入って割れてしまう。壊れてしまう。
そんな心配をしていた。
イスやテーブルならホームセンターで塗料を買ってきて塗るのですが、オイルスティン等の塗料は繊細な木工品に塗るには適していません。
そこで思い出したのがクルミ。
話は小学校の頃へ遡る。
図工の時間に木箱で小物入れを作る授業があった。
木版の上にエンピツで花をデザインし、彫刻刀で浮き彫りにする。
そうして出来上がった作品に クルミ油を塗り込んだ。
素っ気ない木目が綺麗な飴色になり高級感が出たのが嬉しかったのを覚えている。
朧気ながらも 未だに木工製品にはクルミ油という記憶が残っており、 そろばんにもいつかクルミ油を塗ってやろうと心にしたためていた。
それで、先日スーパーマーケットへ行き クルミを買ってきた。
木綿の薄い布で包んで ハンマーで適度にクルミを潰す。 すると、にじみ出てきた物がクルミ油だ。
丁寧に木部へすり込んで出来上がり。
クルミ油は乾燥するのが早いが、しばらくすると 塗り込んだ油が表面へ戻って出てくるので、布で拭き上げると良いだろう。
紙の上に置いておくと紙に油が染み込むので注意が必要。
この作業で 木部に薄い膜が出来て乾燥対策になります。
カスカスに乾いていた算盤の珠と枠が潤ってウキウキしているようです。
因みにクルミ油は表面だけです。中の方まで染み込むわけではありません。
すでに塗料が塗ってある物には塗らない方が良いかもしれません。
当館のロビーまたはフロントに展示してありますので どうぞ手に触れてご覧になって下さい。
(無かったらお声がけ下さい)